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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(29)~兵庫県~ 日本一を2度目撃 豪腕・金村の報徳と犠打30の育英 (3/4ページ)

 この年の育英は送りバント、通常のスクイズを含むバントエンドラン、バスターヒッティング(相手の守備隊形の裏をかきバントの構えからヒッティングに切り替える)などありとあらゆるバント練習に一日かけることも多かったという。

 ……さあ試合に戻る。

 育英にとって8回に迎えたチャンスはおあつらえ向きだった。三塁走者は桑鶴英作、チームきっての功走者だ。打席には7番ショートの田中秀和、この大会2ランスクイズも決めている右打者だ。

 このピンチでも落ち着いた土肥は捕手の小林哲也のサインに応え慎重に田中に向かう。スクイズを警戒しているのが見て取れる。第1球をいきなり田中はバント、しかしファウル。2球目から4球目まではウエストし高めのゾーンに外す。これに対し走者は動かない。土肥が不利なカウントになる。スリーボールワンストライク。

 育英には有利になった。土肥としてはストライクを投げざるを得ない。外せば四球で満塁とピンチが広がる。ではバントと決めつけて一、三塁手がチャージをかけられるのか? いや打つかもしれない、となる。

 勝負の5球目! 左の土肥には背中の桑鶴の姿は見えない。投げた。田中はバント。三塁ランナーは転がってからスタート。セーフティースクイズだ! 打球は強めに土肥の正面、土肥は一瞬、ホーム以外の塁に視線を送った。それからバックホーム。送球はそれた。桑鶴が滑り込んで決勝のホームイン!

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