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【神谷光男 スポーツ随想】“ジンクスに負けた”総裁選不出馬の菅首相 五輪中止こそ最善のコロナ対策、最高の政権延命策だったのかも (2/2ページ)

 五輪の強行で「東京五輪が新型コロナウイルス感染拡大の一因になった」と思う人は共同通信の世論調査で59・8%。専門家が指摘するように、世の中の空気が緩んだことで医療提供体制が崩壊寸前になった。

 中止は不可能のムードをあおっておきながら、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は閉会直前、「IOCにとって中止の方が簡単な解決策だった。保険を使えばIOCの損失はなかった」とぬけぬけと言った。首相はそれでも腹が立たなかったのか。

 「ワクチンさえ広がれば」「五輪さえ開けば」で突き進んだものの、五輪はしょせん一過性の熱病のようなもの。国民はそんなに甘くない。政権浮揚には何の足しにもならなかった。退陣表明に韓国の聯合ニュースは「専門家の警告を無視して強行開催したが、情勢を変えられなかった」と報じ、英BBCも「感染状況悪化にもかかわらず、開催したことも国民の不評を買った」と指摘した。

 思えば五輪中止こそが最善のコロナ対策、最高の政権延命策だったのかもしれない。コロナに翻弄され、五輪に振り回された末の退陣。これも天命というほかない。(作家・神谷光男) 

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