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【小林至教授のスポーツ経営学講義】アマチュアリズム解体が進む米学生スポーツ (2/2ページ)

 アマチュアリズムが、英国の貴族が労働者階級を競技会から締め出すために思いついた方便だった歴史を踏まえれば、差別思想として自由と平等を掲げる米国で早々に廃されても不思議ではないが、オリンピックがアマチュアリズムを廃した1974年以降も、NCAAは金科玉条として守り続けてきた。

 NCAAに対して全米の非難が集中しているのは、学生にアマチュアリズムを強いる一方で、NCAAやリーグ(カンファレンス)、大学当局が総計1兆円以上に上る莫大な興行収入をあげ、監督やコーチは高額な報酬を得て億万長者がゾロゾロという、そのダブルスタンダードにある。

 一般的に学生選手に対する声は、大学スポーツが生活の一部となっている米国でもさまざまである。スポーツに秀でているおかげで名門大学に入学でき、米国独特の高い学費(私立なら600万円以上、州立でも300万円以上)、生活費、活動費も免除になるなど、至れり尽くせりの特権が満載。それを不公平だと考える人は多い。

 しかし、今回は学生選手にシンパシーが集まっている。UCLAバスケ部の元スターが2009年に起こした訴訟を皮切りに噴出した、肖像権の使用の対価を求める集団訴訟は最高裁の審議に入る。また、それに先立ちカリフォルニア州では、学生選手が報酬を受け取る権利が法制化された。

 このように、本家NCAAでは存立基盤だったアマチュアリズムが否定され解体論まで叫ばれているが、UNIVASにもいつか同様のことが起こるかといえば、それはない。まずUNIVASのスタンスは、プロもアマも大歓迎、垣根もこだわりもなしだ。次に日本の大学スポーツは清貧そのもの、倉本聰さんの世界である。大学から認知も報酬もないボランティア指導者、お粗末な練習環境、活動費不足や勉強との両立に苦しむ学生選手が大半という、日本の大学スポーツの現状を少しでも改善できるよう、微力ながら尽力をしたいと思う2期目である。(桜美林大教授、小林至)

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