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【今日も一緒にプロレスを楽しみましょう!】大震災の支援活動で表彰、タイガー・ジェット・シンの“素顔” (2/2ページ)

 コロコロと転がっていく体が、自分のモノとは思えない。遠巻きにしている人たちがカゲロウのようだ。何秒たったのか。しばらくしてやっと己の身に起こったことが理解できた。シンに蹴飛ばされたのだ。気付くと、両肩を上下させながら、去っていくシンの後ろ姿が遠くに見えた。

 後々になって、理解できた。シンはいつ何時でも悪党モードに入っているのだ。

 一年が経った頃の事。開場前の会場で会社に「今日もシンですかね。また何をしでかすか」と原稿の打ち合わせ電話を入れていた。

 ふと殺気が漂ってきた。「ハタリ、ハタマタ」と例の声が近づいて来る。周りには誰もいない。すでにシンにはインタビューしていたし、顔も名前も憶えてくれていた。

 「あいさつするか」と振り返ろうとした瞬間、サーベルで一撃された。「ハタ、シバタ、マタ」と吐き捨てたシンは、いつものように顔をゆがめ、体を揺さぶりながら、控室に向かって行った。プロなら常在戦場。またまたシンにプロのイロハを教えてもらった。

 21世紀になってから、茨城県つくば市の「シンのカレー屋」で、シンと一緒にテーブルを囲み「神に感謝」とおいしくカレーをいただいた。少しばかり図に乗り、コブラクローをかけてのツーショットをお願いすると、やさしかったシンの目の色が一変。久しぶりに落とされそうになった。あの時の記憶が、親子でにこやかに笑うシンの写真にダブった。(プロレス解説者・柴田惣一)

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