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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】ダルビッシュを考える(下) 何度振り返ってもワクワクするノーヒットノーラン 4番が手も足も出ず、打者2巡目に“変速” (3/4ページ)

 3回4回は6連続三振だ。打者2巡目に入るところを反撃の態勢を作らせないとばかりにトップギアに近い所で“中押さえ”に変身した。しかも極上のストレート、スライダー、シンカーと相手に応じて投げ分けている。このあと『前半ちょっと力を込めすぎたので中盤はやや控えた』そうだが、5回、2死からストレートの四球を与えると即立て直し、次の回はまた打たせて取る。終盤少しずつシフトアップしてイニングの先頭を三振に取り、結局6回以降はパーフェクトに抑え選抜史上12人目となる大記録を達成した。1試合9回を構成した投球が生んだノーヒットノーランだった。プロ顔負けの大人の投球だった。

 ノーヒットノーランと同じくらい印象に残っているのが高校3年最後の夏のシーンだ。優勝に届くどころか3回戦で敗退した。千葉経大付属を相手に8回終了時点まで1対0とリードしながら9回同点にされ延長10回2点を奪われて1対3とリードされ攻撃も2死と土俵際だ。グラウンドがぬかるむほどの雨の中で最後の打者はダルビッシュだった。三振でゲームセットを迎えるが、2ストライクと追い込まれたとき、彼はほほ笑んだ。口元が緩んだ。後で聞けば『終わったな』と思ったそうだ。

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