記事詳細

【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】ダルビッシュを考える(下) 何度振り返ってもワクワクするノーヒットノーラン 4番が手も足も出ず、打者2巡目に“変速” (2/4ページ)

 2番のバント失敗を誘うパワー抜群のストレートも、3番に対しダブルプレーを狙ったシンカーも、4番を100%討ち取るために完璧に制球したキレのあるアウトローのストレートも全部最初からウイニングショットとして使ったのだ。ダルビッシュの本当の実力や意識レベルの高さがそこにあった。残念ながら気付けず私の目は節穴だったようだ。

 実は先頭打者がサードの悪送球で出塁したときにダルビッシュは思い切りさわやかな笑顔で『大丈夫! 大丈夫!』と野手陣に返していて、その表情は自信に満ちていた。『僕が抑える。ヒットは打たせない』。眼力があればあの1回の投球にノーヒットノーランを予感できたのではないだろうか。

 2007年日本ハムで12完投で15勝を上げ沢村賞に輝いた頃のダルビッシュに感じたことがある。1試合の中で自在に変速できる。シフトチェンジでギアをローからトップまで持っていける。シフトダウンも可能、さらにアゲアゲで球速を増しながら最後まで行き着くことも。実況でそんな姿を“ひとりJFK”と表現したことがある(2005年ごろの阪神の抑えのトリオ。J=ジェフ・ウイリアムス、F=藤川球児、K=久保田智之)。しかしそれは高校時代に実現されていたのだ。

関連ニュース