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【高橋洋一 日本の解き方】岸田政権に漂う「増税」の匂い…分配政策や人事に疑心暗鬼も 「財政危機」煽るのも財務省筋の常套手段だ (2/2ページ)

 しかし、党税調に宮沢氏がいるのでスッキリしない。隙あれば金融所得増税もありうるのではないかと、市場関係者の一部ではいまだに疑心暗鬼になっているようだ。

 その上に、矢野康治財務事務次官の月刊誌への寄稿があった。財務官僚であれば、当時の麻生太郎財務相への事前根回しは当然であるが、岸田首相への根回しもしていないはずはないと筆者は考える。

 あの論考の内容は会計学や金融工学の点でも問題が多い。それを世に出すことを容認してまでも、財政危機を煽(あお)りたいのかと思ってしまう。「財政危機」は、増税の前に必ず財務省筋から出てくる常套(じょうとう)句だ。

 ちなみに、財務省の公式見解は「日本国債はデフォルトしない」「日本は破綻しない」というものだ。これは02年に出されたものだ。海外からデフォルト懸念が出たのに対して、世界に通用する公会計による財務諸表は筆者が官僚当時に作成したもの以外になく、財務省は、その分析等に基づいて言わざるを得なかったからだ。

 矢野氏の個人的見解だったとしても、公式見解に反することを月刊誌で主張したのだから、岸田政権としてけじめをつけなければならないが、今のところ、論考を事実上容認しているようにすらみえるのは、やはり財務省の影響が強いと思わざるを得ない。これも岸田政権の増税の匂いを感じさせる出来事だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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