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【菊池雅之 最新国防ファイル】世界初、潜水艦探索の飛行艇 対潜飛行艇「PS-1」 老朽化のため早ければ今年中にも撤去 (2/2ページ)

 そのころ、戦前に飛行艇を製造していた川西航空機株式会社(現・新明和工業株式会社)は、再び飛行艇の開発を目指していた。米海軍の飛行艇「アルバトロス」を参考に、戦中からの技術を盛り込み、実験機「UF-XS」をつくり、62年12月に初飛行に成功する。

 防衛庁は、飛行艇を対潜哨戒機として使うことを決め、そこから官民一体となっての開発が行われ、70年10月、ついに「PS-1」が誕生する。トータル23機が生産された。

 一旦海面へと着水し、潜水艦を探すソナー(水中音波探知機)を海面へと降ろす独特な方法を取る。だが、この方法では効率の悪さが指摘されたこともあり、誕生からわずか10年で、「PS-1」の調達は中止されてしまった。

 しかし、「海上での人命救助」という新たな任務を与えられ、救難飛行艇「US-1」として、新たに生産されていくことが決まる。

 現役時代、海面の照り返しを受け、純白の機体は光輝いて見え、「海自で最も美しい機体」とも言われていた。ただ、今そこにあるのは苔むし、さび付き見る影もない。崩壊し、けが人が出るような事態は避けねばならず、撤去はやむを得ないだろう。

 「飛行艇の製造技術は世界一」と言われている日本。その第一歩となった「PS-1」が姿を消す。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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