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【ぴいぷる】ノンフィクションライター・小野一光 DV、シングルマザー、就職難、貧困…非常時だから性を売る、風俗嬢は社会を映す窓 新著『限界風俗嬢』が話題 (2/3ページ)

 「彼女たちに聞くと、家族を失った男性が癒やしを求めにやってくると言うんです。風俗嬢も家を流されたりして、生活のために働く被災者。男たちはだれにも言えない苦悩や本音を彼女たちに話していたんです」

 こういった話を『震災風俗嬢』(集英社文庫)に記した。「被災地で風俗の取材なんて不謹慎だ」と言う人もいた。

 「その葛藤はありました。しかし、彼女たちの『3・11』の苦しみは、きちんと伝えなければと思いました」

 ショッキングな話を聞いたとき、驚き過ぎたり、ヘンに同情すると、その子は「やっぱり私の体験は大きな傷だったんだ」と思ってしまう。そこで、極力平たく、起伏なく聞くようにしている。

 「『押す』のではなく、あえて『引く』ということ。被災地や殺人事件の取材が役に立っています」

 起訴された案件だけで7人が死亡した北九州監禁連続殺人事件、SNSで知り合った9人を殺害・解体した座間殺害事件などの殺人犯と接見し、彼らの放つ独特な臭気も伝えた。近畿連続青酸死事件の「後妻業の女」こと筧千佐子死刑囚からも獄中告白を引き出した。

 「死刑判決直後に面会し、同郷であることを伝え、その後もお菓子の差し入れなどで距離を縮めました」

 やがて「人恋しいです。お会いしたいです」という手紙が届き、20回以上も面会して話を聞いた。一時は決裂したが、上告が棄却されて死刑が確定したとき、再び会うことができた。

 「別れ際に『ありがとうね。私はこれでサヨナラ』と胸のところで両手をひらひらと振っていたことが忘れられません」

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