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【高橋洋一 日本の解き方】真水30兆円規模の経済対策でコロナ禍で厳しい業界を救え 観光・飲食の軽減税率も一策だ (1/2ページ)

 コロナ禍で観光や飲食業を中心に落ち込みが続く業界も少なくない。政府は秋の臨時国会で補正予算案を提出するとみられるが、どのぐらいの規模の経済対策が必要で、どのような使い道を優先すべきだろうか。

 まず、景気の状況を考える。4~6月期国内総生産(GDP)速報値は8月16日に公表される。おおよその傾向をつかむために、内閣府が公表している毎月の景気動向指数をみると、景気の現状を示す「一致指数」は4月時点で95・3で、前月から改善を示していた。5月(速報)の一致指数は92・7と3カ月ぶりの下降であったものの、基調としては改善だ。こうした点などから、4~6月期GDPは、1~3月期に比べて若干増加する可能性が高いだろう。

 それでも、設備や労働力が最大限に活用された場合の潜在GDPとの乖離(かいり)幅(GDPギャップ)は30兆円程度あり、補正予算の真水の規模も30兆円程度が必要だ。GDPギャップがある場合、その後、失業が発生するからだ。

 このようにマクロ経済政策について筆者は、従来の経済理論を使って数量的に説明する。本コラムでも安倍晋三前首相の「政府と日銀連合軍」発言を数量的かつ基本理論で解説した。

 政府与党幹部から「高橋さんは、MMT(現代貨幣理論)論者ではないですよね」と聞かれると、「私はMMT批判論者です。MMT論者は、数値で話すことができない思想者ですよ。クルーグマン氏など米経済学会のノーベル賞受賞者などからは全く相手にされていない、政治的なプロパガンダです」と答えている。日本でMMTが流行っているかのように主張する識者は、おそらく経済理論が分かっていない人だろう。なお、筆者と上武大教授の田中秀臣氏は『日本経済再起動』(かや書房)の中でMMTの理論的批判を行っている。ぜひ参照していただきたい。

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