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【勝負師たちの系譜】藤井二冠の不滅の記録 若さの特権、頂点でも「強くなりたい」気持ち (2/2ページ)

 棋士になって21年かかった訳だが、これでも勝ち星で九段になった棋士の中では、早い方だ。

 タイトルに手が届いても、3回までに至らず、八段のままという棋士も何人かいる。18歳で九段となると、勝ち星では無理だから、タイトル3回以外にはないが、今後同じ成績を残せる棋士が出るとは思えない。

 今回の棋聖防衛の後のインタビューで、藤井は「とにかく強くなりたい」と言っていた。これは奨励会員なら当然の気持ちだが、棋士になると「勝ちたい」になり「明日の相手に勝ちたい」から「勝って収入を得たい」に移る頃から徐々に将棋が弱くなる。

 いつまで「強くなりたい」という気持ちが持続できるかが、棋士にとって一番大事なのだが、頂点まで来てこの気持ちが持てるのも、若さの特権かと思うのである。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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