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【定年後の居場所】時は戻せない、昔の感動は今後の力にせよ 映画「ベル・エポックでもう一度」に感銘 (1/2ページ)

 6月の終わりに、大阪・梅田で映画『ベル・エポックでもう一度』を鑑賞。映画館に行くのも久しぶりで、夜遅くまで繁華街にいることも最近はほとんどなかった。コロナ禍の前は当たり前だったことが今は非日常になっている。

 70歳前後と思しき主人公ヴィクトルは、かつては売れっ子イラストレーターだったが、デジタル化された社会についていけず、新聞社を解雇された。妻にも愛想を尽かされてしまう。

 冴えない日々を送る父を元気づけようと考えた息子が、友人が始めた「タイムトラベルサービス」をプレゼントする。このサービスは映画製作とデジタル技術を応用して顧客が戻りたいと希望する過去を綿密にセットに再現して顧客をその時代に連れていく。いわば体験型のエンターテインメントサービスだ。第二次世界大戦の時代にタイムスリップ、ヘミングウエイがいた部屋を訪問したり、亡くなった自分の父親(俳優が演じる)とレストランで互いに語り合う人もいる。

 主人公は「運命の女性と出会った1974年のリヨンに戻りたい」とリクエスト。セットには70年代のおしゃれなカフェや街並み、レトロファッション、当時の音楽も再現される。彼の青春の一日のすべてがそこに蘇っていた。

 多くの人はかつて自分が生きた時代や場所をもう1度体験してみたいと思うことがあるのではないか。このタイムトラベルサービスが可能ならその夢が実現する。子供の頃や過去の自分と出会う場を持つことは大切だと思っている。私の場合で言えば、70年代のヒット歌謡曲を聞いたり、生まれ育った地域を歩いてみたり、子供の頃の友人と話すことが楽しみであり、定年退職以降の一つの居場所といってもよい。

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