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【国家の流儀】経済界も「中国の脅威」問題視 領海侵入にサイバー攻撃…高まる安全保障への関心、関西経済同友会が提言発表 (2/2ページ)

 《中国は、直近30年間で国防費を約44倍(2021年は我が国国防費の4倍)に拡大。建国100周年となる2049年に向けて覇権的な行動を一層強めている。我が国に対しては、尖閣諸島沖合への領海侵入を積極化するなど伝統的分野での圧力を高めているほか、サイバー攻撃もエスカレートさせている模様である》

 要は、台頭する中国の脅威にいかに立ち向かうのか、という問題意識なのだ。

 この提言で注目すべきは、3番目の「『経済の安全保障』の観点から、産業界の垣根を越えた協力体制の構築を」だ。

 《米国や中国の輸出規制などに日本企業が巻き込まれる危険性は、ますます高まっている》が、《米国や中国による輸出規制や輸出制裁が自社に及ぼす影響やリスク認識、あるいは、自社の製品が、供給元/供給先として、どのように作られ、第三国などで使われているのかといった実態把握について、各企業や個人で行う情報収集や対応策には限界がある》と指摘する。

 そこで、どの技術や製品が安全保障上、重要なのかを、《政府はまず、経済安全保障の観点から、企業、大学や研究機関などの調査を行》い、その結果を公表すべきだと提言している。

 それは経済界として、「政府の調査に協力する用意がある」ということでもある。政府の調査に協力するのは面倒だし、コストもかかる。だが、政府の調査に協力し、安全保障上、重要な技術が中国などから盗まれないようにしようではないかと、全国の経営者に訴えているわけだ。

 日本の優れた技術を守り、日本経済を発展させていくためにも、この関西経済同友会の提言に呼応する企業を応援したいものだ。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、2019年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書に『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)、『米国共産党調書-外務省アメリカ局第一課作成』(育鵬社)など多数。

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