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【大前研一 大前研一のニュース時評】GHQの置き土産に定着した“平和憲法” 改正ではなくゼロから作り直す「創憲」が必要 (1/2ページ)

 今月3日、日本国憲法は施行から74年を迎えた。その間、一度も改正していない。同じ第二次大戦の敗戦国のドイツの憲法は、1949年の制定以降、60回余りも改正されている。56年に軍備条項を、68年には新型コロナ禍で非常に役に立っている緊急事態条項を入れている。

 もう1つの敗戦国イタリアも16回変えている。イタリアの憲法は、テレビなど社会に影響を与えるものについて触れているのが興味深い。ただ、「政治家は悪いことをする」という前提なのか、国民投票で否定されるケースも結構ある。

 中国も日本の憲法改正に反対していながら、自分たちはクルクル変えている。米国は修正条項1、修正条項2というやり方で追加している。

 日本の場合、GHQの置き土産の憲法に、いつの間にか「平和憲法」という名前が定着してしまった。そうなると、国民には「平和憲法を守ろう」というスローガンは受け入れられやすいことになる。日本に再軍備させたくない中国にとっても、都合がよかった。

 しかし、その間、憲法の内容そのものについての議論はほとんどされたことがなかった。憲法改正賛成派も、「自衛隊を入れろ」「緊急事態条項だ」と叫ぶだけ。自民党の憲法改正草案について、私は「君は憲法第8章を読んだか」(2016年、小学館)で1つずつ批判している。

 ここで私は「まず手をつけるべきは、中央政府がすべての権限を握り、その意向に従う者だけに目こぼしをする、いびつな政治の論拠となっている第8章の『地方自治』だ」と主張した。

 自民党の憲法改正草案ではさらにこれを強化している。これではますます日本を衰退させてしまう。自民党の人たちもほとんど憲法を検証していない。

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