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【菊池雅之 最新国防ファイル】弾道ミサイルを確実に迎撃するために 「PAC-3機動展開訓練」 (2/2ページ)

 確実に撃墜するためには、PAC-3をなるべく落下地点に近い場所へ展開させ、有効射程内で捕らえる。そのため、全国に24ある高射隊は、毎年定められた場所へと移動し、発射までの動作を演練している。今回は陸自駐屯地が使われたが、過去、新宿御苑や東京ビッグサイトなど、自衛隊の施設以外に展開する訓練も行ってきている。

 空自には苦い経験がある。2009年3月、北朝鮮が「人工衛星」と称して弾道ミサイルの打ち上げ準備に入った。そこで、同月27日、自衛隊に対して「破壊措置命令」が出された。これを受け、浜松基地(静岡県浜松市)から新屋演習場(秋田市)へPAC-3を機動展開させた。

 その途上、3基の発射機のうち1基が、信号で停止した際、はぐれてしまい、道を間違えて県立野球場へ進入してしまった。切り返して出ようとしたところ、照明灯と接触する事故を起こしてしまった。長距離移動訓練の重要性を痛感した出来事となった。

 今回初めて、展開先として春日井駐屯地が使われた。グラウンドまで進出すると、ものの数分でレーダーを作動し、発射機を起立させ、迎撃できる体制を整えた。

 空から降り注ぐ脅威から国民を守るため、今後もPAC-3部隊は日本各地へと展開訓練を行っていく。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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