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「週休3日」は本当に実現できるのか ネット上で評判が悪い理由 (4/4ページ)

 ◆残業規制も守れない段階での議論は拙速

 もっとも、一つの仕事を複数の社員でシェアし、1人当たりの賃金を減らす代わりに雇用を維持するやり方はワークシェアリングと呼ばれており、欧州では一般的である。不景気のときには、ワークシェアリングを行って労働時間と賃金を減らすことによって全員で苦労を共有し、大量解雇を防いでいる。

 仮にこの制度を多くの企業が導入すれば、国全体としては雇用維持の役割を果たす可能性もある。だが経営者から見ると、総人件費を削減できるので一種のリストラ策であることに変わりはない。

 18年に働き方改革関連法が施行され、日本でもようやく厳しい残業規制が行われるようになった。大企業の残業はかなり抑制されたものの、中小企業を中心に一部の企業では、相変わらず違法もしくは違法ギリギリの残業が行われている。

 まずはこうした労働法制を守らない企業をなくし、既存の法律の範囲で適正な労働を促すことが先決であり、その対策も十分に行われていないうちから、週休3日制について議論するのは順序が違うだろう。単なるコスト削減策であるとの批判を受けないためにも、政府は既存の労働法制順守を企業に対して徹底指導すべきである。その上で、多様な働き方の実現において週休3日の制度が必要であれば、あらためて議論すればよい。

 ■加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。

ITmedia ビジネスオンライン

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