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【菊池雅之 最新国防ファイル】冬に備え階級関係なく徹底訓練 大雪の災害派遣で生かされた冬季戦闘能力の高さ (2/2ページ)

 北海道においてはじめて勤務する隊員を「新渡道」者と呼ぶ。陸自で最も高い階級である陸将から、下士官・兵に当たる陸曹士まで、階級に関係なく、スキー教練やかんじき実習、冬季擬装、雪洞研修などが盛り込まれた新渡道訓練を実施する。雪と寒さに慣れないと、使い物にならないからだ。

 こうした教育支援を行うのが冬季戦技教育隊だ。略して「冬戦教」と呼ぶ。

 新渡道訓練のような基礎的なものから、冬季レンジャー課程など本格的かつ実戦的な教育訓練を行う。かつては、冬季オリンピックのバイアスロン(=クロスカントリースキーとライフル射撃を組み合わせて行う競技)選手を輩出するなど、まさに「冬のプロ」が育てられていった。

 沖縄に駐留する米海兵隊も積雪地での戦闘を学ぶため、毎年秋と冬に開催される日米共同訓練「フォレストライト」などを通じ、北海道や東北で雪中訓練を実施している。同じように、米陸軍もハワイ州軍などを冬季日米共同訓練である「ノースウインド」などへ派遣している。

 日本には四季がある。敵は季節を選んで侵攻しない。ならば1年の四分の一を占める冬の戦いに備えるのは当然だ。

 陸自の冬季戦闘能力の高さを災害派遣で生かした姿をわれわれは目撃した。過酷な気象条件をものともせず朴訥(ぼくとつ)に任務に邁進(まいしん)する自衛官には頭が下がる。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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