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女性少尉を「性上納」でボロボロに…金正恩「赤い貴族」の非道ぶり (3/4ページ)

 2004年のある日。彼女は休暇を取って沙里院の実家に帰った。両親に会うためではなく、北朝鮮では違法である妊娠中絶手術を受けるためだった。

 両親には部隊に戻ると告げたが、戻らずに休暇を延長して、幼馴染の家で過ごしていた。そして遺書を残し、その家の倉庫で自ら命を絶った。5年も続いた地獄に、自らの死を持って終止符を打ったのだ。

 遺書の内容は秘密に付されたが、「力のない家で生まれたのが罪」「両親にあわせる顔がない」などと書かれていたとの噂が広がった。彼女は、鑑定除隊(病気による除隊)扱いにされ、両親も異議を唱えなかった。いや、できなかったのだろう。

 捜査機関も、パルチザンの息子を裁くどころか、取り調べすらできなかった。庶民であるキム看護師の両親は、悔しい思いを胸の奥にとどめ、沈黙するしかなかったのだろう。そこには、性暴力は被害女性の落ち度とする北朝鮮社会の風潮も影響していただろう。

 (参考記事:北朝鮮「突撃隊」で性暴力の餌食になった20代の女性隊員

 2016年5月に朝鮮労働党第7回大会が開かれたが、呉鉄山氏は党候補委員に選出されなかった。兄の呉琴鉄(オ・グムチョル)副総参謀長や他の抗日パルチザン家系の人物も、地位が引き下げられた。犯罪に対する処罰ではなく、権力基盤を固めようとしていた金正恩党委員長が、既得権力化していた彼らを除去しようとしたことによるものと思われる。

デイリーNKジャパン

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