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【菊池雅之 最新国防ファイル】演習場では市街戦を想定した訓練も実施 現在の脅威・中国に対抗する「機動展開訓練」 (2/2ページ)

 さらに、この2つの機動演習を「協同転地演習」として合わせて行った年もあった。

 現在の日本の脅威は中国だ。そこで、中国による着上陸が想定される西部方面隊区である九州・沖縄エリアへ部隊を増強させる必要が生じた。それが「機動展開訓練」だ。

 ここでは、第2師団第25普通科連隊(遠軽駐屯地=北海道紋別郡遠軽町)が、霧島演習場(宮崎県えびの市)へと展開した訓練に注目する。

 10月20日、北海道を出発した。民間のフェリーなどに分乗した。鹿児島港や敦賀港、舞鶴港などに入港し、それぞれ陸路で九州へと上陸した。

 霧島演習場に到着すると、早速陣地を構築する。「初めてこの演習場にきた。穴を掘ると直径1メートルぐらいの巨大な岩が次々と出てきて、陣地構築に苦労した」とある幹部は話す。いつもと同じ演習場では、体験できない試練だ。

 演習場内にはマンションや銀行、スーパーマーケットを模した市街地戦闘訓練場がある。この街を九州内の街と想定した。守備隊の指揮を執るのは、ジブチ共和国派遣を経験した中隊長だ。「野戦では、身を隠して敵を迎え撃つ。しかし、市街地を隠すことはできない。困難な戦いとなる」と話す。

 敵役を務める部隊が、この架空の街へと侵攻してきた。街の周囲には有刺鉄線や地雷などの障害を設け、第一波攻撃を阻止。それをかい潜ってきた敵を建物の屋上や窓から迎え撃った。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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