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【菊池雅之 最新国防ファイル】冷戦時に匹敵「日本領空が脅かされている」 対領空侵犯措置「スクランブル発進」 (2/2ページ)

 対応に追われているのが、那覇基地(沖縄県)に司令部を置く南西航空方面隊だ。上半期緊急発進回数371回のうち、半数以上となる194回が、南西航空方面隊隷下の飛行隊が実施している。ほぼ毎日、中国機の示威行為に振り回されている計算だ。

 那覇基地は、沖縄県への玄関口である那覇空港と滑走路を共用している。民間航空各社は、日本各地から那覇へと就航しており、多くの観光客を運んでくる。政府の観光振興策「GoToトラベル」の後押しもあり、沖縄への観光客は徐々に戻りつつある。

 そんな民間機の間を縫うように、スクランブル発進や訓練などで那覇基地から、F-15戦闘機が頻繁に離着陸を繰り返す。那覇空港に隣接する瀬長島にある温泉施設の露天風呂から爆音をとどろかせて蒼空へと飛び立つ戦闘機が見える。湯船につかりながらぼんやり見上げた戦闘機は、もしかしたら中国機への対処に向かっていったのかもしれない。これが、日本南西エリアでの現実だ。

 主としてロシア機への対処を行う千歳基地(北海道)に司令部を置く北部航空方面隊は今上半期116回実施している。中国機と比べれば回数は少ないが、やはりロシアの脅威も減じているわけではなく、依然としてあることは認識しておく必要がある。

 あまり大きく報じられることはないが、ここ数年の緊急発進回数は、東西冷戦時に匹敵している。われわれは、領空が脅かされている実情を知る必要がある。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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