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【菊池雅之 最新国防ファイル】無人の街を作り訓練 陸自の戦術を変えた「市街地戦」 (1/2ページ)

 自衛隊創設当初、日本の仮想敵であったのはソ連だった。戦車を中心とした強大な軍事力をもって北海道へと侵攻してくると考え、陸上自衛隊は「野戦」を重視した部隊を整備し、装備を配置してきた。

 ここで言う「野戦」とは、歩兵や戦車、大砲が広大な大地で入り乱れて戦う従来型の戦闘だ。自然の地形を生かし防御しつつ戦う。天候も大きな影響を及ぼし、時として敵にも味方にもなる。こうした戦いに備えた訓練を重ねてきた。

 冷戦が終結すると、「野戦」を中心とした戦術を見直すことになった。軍と軍が戦う大規模戦争よりも、ゲリラを中心とした地域紛争や都市部でのテロ行為が生起する可能性が高くなってきたからだ。

 そこで、新たに「市街地戦」が陸自の防衛戦術に加えられた。文字通り、都市部で敵と戦う戦闘だ。2000年代に入ると、「野戦」の延長として敵が市街地へと攻め入ったケースや、突如テログループなどが都市部で破壊行為を行うケースなど、さまざまな事態を想定し、研究が行われていった。

 他国の見よう見まねで、駐屯地内を1つの街に見立て、敵が潜伏する建物の掃討訓練などを開始した。「市街地戦」では、「野戦」ほど自然環境は重要ではなくなった。その代わりに、人工構造物を生かして戦わねばならない。そのためには、実際の建物を使用した訓練が必要不可欠だ。

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