【サクラと星条旗】もしMLBが選手の五輪参加を許しても…侍ジャパンにとって米国代表は脅威ではない (2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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もしMLBが選手の五輪参加を許しても…侍ジャパンにとって米国代表は脅威ではない (2/2ページ)

 だが別の見方もできる。例えば米国では、メジャーリーガーはそれだけでマイナーリーグのどの選手よりも優れていると思われがちだが、その考えは間違っている。それを証明したのがセシル・フィルダーだ。米国で振るわなかった彼は、24歳の時に来日して才能を開花させ、その後メジャーに復帰してスター選手となった。コルビー・ルイスも然り。スコット・マクガフ、ニック・マルティネス、タイラー・オースティンなども同類だ。相応の機会を与えられれば活躍できる選手なのである。

 日本プロ野球を30年間にわたり分析している共同通信の野球記者、ジム・アレン氏はこう話す。「今大会のトーナメントに参加した選手は144人。その3分の1は、機会さえ与えられれば現メジャーリーガーたちの地位を奪うこともできる選手だ。今回金メダルに輝いた日本代表チームに、メジャーリーグのピッチングに慣れる機会とファームシステムを用意してやれば、十分戦えるメジャーリーグチームとなるはずだ。大谷とダルビッシュがいなくても」

 加えて、こんな事実もある。もしMLBがNPB同様に、各選手がそれぞれ自国のために戦うことを許したら、皆が思っているほど米国の選手層は厚くないことに気づくだろう。メジャーリーガーの30%は出身が米国以外なのだ。

 今年7月にコロラド州デンバーで開催されたオールスター戦では、ア・リーグの先発メンバーのうち5人が外国人選手だった。ブルージェイズのブラディミール・ゲレーロJr.はカナダ出身。ラファエル・デバース(レッドソックス)とテオスカ・ヘルナンデス(ブルージェイズ)はドミニカ共和国、ザンダー・ボガーツ(レッドソックス)はオランダ領アルバ出身。大谷翔平は、言うまでもない。

 ナ・リーグでも、2大スターのフェルナンド・タティスJr.(パドレス)とロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)はそれぞれドミニカとベネズエラの出身だ。ロッキーズのエース、ヘルマン・マルクスもベネズエラ。彼らのいない米国チームは、さほど大きな脅威ではないだろう。

 日本代表チームの先発ローテーションに大谷、ダルビッシュ、前田が入れば、オリンピック、あるいはWBC、その他いかなるポストシーズンのシリーズでも、無敵のチームとなる。ここに菅野と田中が加わればなおさらだ。

 だが1シーズン162試合となると話は別で、選手層の薄さがあだとなりそうだ。まあ、それをいま言っても仕方がない。

 次にオリンピック種目として野球の試合が行われるのは、2028年のロサンゼルス五輪だろう。私は漠然と、この先もMLBが五輪に関わることはない気がしている。だが東京2020が示したとおり、そんなことは実際のところ大した問題ではない。

 ■Robert Whiting 作家。米ニュージャージー州生まれ。『和をもって日本と成す』(1990年)で日本のプロ野球の助っ人外国人を描き、独特の日米文化比較論を展開した。この逆バージョンともいえる本コラム「サクラと星条旗」は2007年から好評連載中。

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