【歳川隆雄 永田町・霞が関インサイド】習氏の「共同富裕」思想は文革の再来か 実態は富裕層や大企業への“魔女狩り”人気女優に罰金51億円など - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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習氏の「共同富裕」思想は文革の再来か 実態は富裕層や大企業への“魔女狩り”人気女優に罰金51億円など

 少し前の事である。中国共産党指導部は8月27、28の両日、民族政策に関する中央民族工作会議を開催した。習近平国家主席(共産党総書記)は次のように語った。

 「中華民族共同体意識を形づくることを、民族政策の中核に据えねばならない」「中華民族の利益が最重要であり、中華文化が幹、各民族は枝と葉だ」

 この発言には仰天した。全人口の9割以上を占める漢民族に55の少数民族を同化させると言ったに等しい。

 現在も、新彊ウイグル自治区などの少数民族の“非暴力抵抗”に直面する国家指導部が改めて、「すべての民族が、中華民族、中華文化、中国共産党、中国の特色ある社会主義への強い帰属意識を持つこと」の重要性を強調せざるを得ないほど手を焼いている証しだ。

 一方、習氏は同17日の党中央財経委員会で、「全人民の共同富裕を人民の幸福を実現する取り組みの重点とし、党の長期的な統治の基礎を絶え間なく固めねばならない」とも述べた。

 「共同富裕」とは、かつて●(=登におおざと)小平が唱えた「先富論」の次のステージとして習氏が掲げる新たな富の分配思想と言える。

 財経委で打ち出した「3次分配」がキーワードだ。経済成長による1次分配で生まれた格差を、徴税や社会福祉による2次分配で是正して、3次分配で「高収入を合理的に調節し、違法収入を取り締まる」と言明する。

 聞こえは良いが、その実態は富裕層や大企業・新興企業への“魔女狩り”である。

 IT大手「騰訊控股(テンセント)」は何とその翌日、農村振興や低所得者支援に500億元(約8500億円)の寄付を発表した。

 その後、大手スマートフォンメーカー「小米科技(シャオミ)」の創業者、雷軍会長が172億元(約2900億円)、ネット通販大手「アリババ集団」は共同富裕促進事業として25年までに1000億元(約1兆7000億円)の寄付を、それぞれ“自発的”に申し出たのだ。

 それだけではない。人気女優、鄭爽氏は脱税容疑で摘発されて51億円の罰金を課せられた。そして、自己批判文書の公表に追い込まれている。

 要するに、習氏は中国建国の父、毛沢東に並び称されたいがために、深刻な格差拡大に歯止めをかけるべく、国家統制強化を通じて「共同富裕」を打ち出したのだ。とすると、「文化大革命再来の兆し」と見るべきなのか。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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