【元文春エース記者 竜太郎が見た!】「音楽フェス=悪」のレッテルは間違い いまだに止まない「NAMIMONOGATARI」糾弾も - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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「音楽フェス=悪」のレッテルは間違い いまだに止まない「NAMIMONOGATARI」糾弾も

 「『NAMIMONOGATARI』は大変なことをやらかしてくれた。音楽フェスに集まる人が公共ルールを無視するような連中だという偏見を世間に与えてしまったし、ホールやイベント会場を使用申請するのが大変な時期なのに、ポップスのアーティストに貸すのをやめようという空気ができてしまう」(音楽プロモーター)

 “密フェス”として問題になった野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI2021」への批判がいまだに止まらない。8月28、29日にAICHI SKY EXPOで開催されたが、酒類提供、ノーマスク、興奮した観客が大声をあげ体をぶつけ合うなど、らんちき騒ぎがネットの動画で拡散。

 緊急事態宣言下でコロナ対策管理がされていなかったことが露呈し、クラスター感染で現在まで45人の陽性者が確認されている。

 出演したZeebraは、同フェスがヒップホップ系アーティスト主体のイベントだっただけに、シーンを牽引(けんいん)してきた立場として謝罪した。

 「同フェスに観客としていた元E-girlsの須田アンナとYURINOのノーマスク写真がSNS上で拡散し、すぐに反省動画を公開しましたが、『普段と変わらない明るい笑顔だった』『ことの重大さを理解していない』と逆に非難が殺到した。そこで改めて9月14日に黒いスーツ姿で再謝罪することに。しかし、見ていて残念というか、さらし者感がハンパじゃなかった」(レコード会社幹部)

 「NAMIMONOGATARI」のずさんな管理については厳しく批判されても仕方がない。なぜそんな事態になってしまったのかを調査して解明するのは、今後のイベント運営に役立てる意味でも重要なことだ。

 一方で、若者の反体制の主張や自由を謳歌(おうか)するのがロックやヒップホップの成り立ちにあるのに、世間一般の正義の押しつけに言われるまま従うのは一部のアーティストからすると違和感があるだろう。

 何が起きるかわからないライブでの緊張や興奮の中、アーティストがステージから観客を教師生徒のような立場でコントロールするのはなかなか難しいのではないか。そこはやはり主催者の徹底した呼びかけや対策が望まれる。

 筆者もコロナ禍で開催された音楽ライブに何度か行ったが、密を避ける、声を出さない、マスク着用、消毒はしつこいんじゃないかと思われるくらい徹底していた。むしろ、すごいなと大いに感心したくらいだ。

 いまだに「NAMIMONOGATARI」の失敗ばかりが取り沙汰されるが、音楽フェス主催者はコロナ対策を万全に心がけており、「音楽フェス=悪」というのは間違った認識である。

 私たちの心を解放してくれるのは音楽だ。それ自体がいけないという発想にはしたくない。 

 ■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋『週刊文春』編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に著書『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』(文藝春秋)を出版。

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