【令和を変える!関西の発想力】滋賀県のタクシー会社が“NO密”観光プラン 自然豊かな城跡を巡る - zakzak:夕刊フジ公式サイト

記事詳細

滋賀県のタクシー会社が“NO密”観光プラン 自然豊かな城跡を巡る

 コロナ禍に陥って1年半。ワクチン接種も進んで、都道府県をまたいだ移動がようやく緩和されそうです。ただ油断は禁物! ソーシャルディスタンスを守らねば、久々の観光も楽しめません。

 そんな機運を察してか、滋賀県の近江タクシーが、ソーシャルディスタンス満点の観光プラン「近江の御城印100巡り」を発売しました。滋賀県に多い自然豊かな城跡を、密にならないタクシーで巡るという“安全安心”なプランです。特に演出がハンパなく、案内するタクシーの車体には人気アクションゲーム「戦国無双5」の戦国キャラクターが描かれ、案内する城跡には、「御朱印」ならぬ「御城印」が配備されています。

 しかも、この「御城印」は滋賀県の市町村や観光協会、文化財課が連携してつくった努力の賜物。つまり「近江の御城印100巡り」は滋賀県が地域ぐるみで打ち出す、産官学連携の一大観光プロジェクトなのです。

 そのコンセプトは滋賀県らしく戦国時代。というのも滋賀県は戦国時代の足跡が色濃く残るところで、織田信長の安土城や石田三成の佐和山城など、名だたる武将の城とともに、滋賀県内に建てられた城は1300もあったと伝えられています。しかし戦国時代だけにその大半は焼失し、今では城があったことを示す石碑がポツンと立っているだけで、ただの自然豊かな場所にしか見えません。よってこれまでは、観光名所としては物足りず派手なPRはできませんでした。

 ところがコロナ禍で価値観が一変。「歴史を彷彿させる自然豊かな場所」こそが、ソーシャルディスタンス満点の理想郷と化したのです。このチャンスを、近江商人マインドあふれる滋賀県人が見逃すワケありません。さっそく1300の城跡から厳選100カ所を抜粋し、地域ぐるみで「近江の御城印100巡り」を売り出したというわけです。

 それだけにプランの中身は考え抜かれています。たとえば羽柴秀吉の出世城「長浜城」からスタートする「秀吉と浅井ゆかりの城を一挙10城巡る」は、秀吉が石田三成に出会った「観音寺横山城址」や、信長と家康の連合軍と浅井・朝倉軍が戦った「姉川の古戦場」、お市の方と浅井三姉妹の悲劇の舞台「小谷城跡」など戦国ファン感涙の史跡を中心に、浅井氏の家臣・中島宗左衛門の居城「中島城跡」や、越前朝倉軍勢が立て籠った「丁野山城跡」など知る人ぞ知る史跡も巡る7・5時間の豪華コースで、料金は3万6000円(税別)。新鮮な野菜や土産品が買える道の駅にも案内してくれるので、家族とたっぷり楽しめそうです。

 ただこのプランは日帰りが前提。せっかく滋賀に行くなら、もっと楽しみたいという人は多いでしょう。しかし“心配ご無用”。滋賀県では9月から、大規模な観光キャンペーン「めくるめく歴史絵巻滋賀・びわ湖」を実施中。比叡山延暦寺や甲賀忍者の郷など、自然豊かな観光名所を楽しむプランが盛りだくさんに用意されています。

 さすが近江商人、一歩先を見るビジネス手腕、お見事です。

 ■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた“ブーム仕掛け人”。

関連ニュース

アクセスランキング

×