【定年後 難民にならない生き方】子どもに迷惑をかけないための“老後の準備” できる限りの情報を伝えておく - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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子どもに迷惑をかけないための“老後の準備” できる限りの情報を伝えておく

 「子どもに迷惑をかけたくない」。それは多くの親に共通する思いだ。だが、必ずしも迷惑をかけないための準備をしているとは限らない。どちらかと言えば、「いずれやるつもり」と先送りしていたり、「何から手をつければいいかわからない」と戸惑っていたりするケースが多いのではないか。親も子も互いに漠然とした不安を覚えながらも切り出しづらいまま、時が過ぎてしまうことも少なくない。

 「老後に起こりうる『もしも』の事態は突然、私たち家族の目の前に現れました。母が70歳前半で末期がんになり、同時期に父の認知症が発覚するときまで、私も私の両親も『老後』について一切考えていなかったのです」

 こう語るのは『“もしも”のときに子どもに迷惑をかけないための準備ブック』(永岡書店)の著者、永峰英太郎さんだ。親が、がんや認知症などの重い病を患うと、その世話や介護をする中心人物は子どもになる。しかし、老後の対策や準備を一切していない中では子どもは満足のいくフォローができない。「子どもだけでは解決できないことがたくさんある」と永峰さんは指摘する。

 「私のケースでいえば、『親の預貯金が引き出せない』『定期預金・貸金庫の解約ができない』といった、お金の問題がまず立ちはだかりました。終末期医療や延命治療の意向が分からずに悩み、お墓や葬儀、生命保険、親の友人・知人のこと…と分からないことばかり。自分では解決できず、今思うと間違った選択をしたのではないかと思うことや、放置せざるを得なかったことが多くあります」

 本書では「お金」「保険」「自宅」「病気」「終末期」「手続き」など老後の準備に欠かせない14のテーマをピックアップ。それぞれについて「対策や準備を怠った場合、どのような事態が子どもの身に起こるのか」がイラスト付きで丁寧に解説されている。

 例えば、生命保険。生命保険の世帯加入率は8割を超える。だが、生命保険の内容をしっかり理解し、家族にきちんと伝えていなければ“無用の長物”になりかねない。

 「生命保険の手続きは、親が病気になったり、死去したときに行う性質のものです。こうした時期はやらないといけない手続きが多くあり、その中で必要書類を“探し出す”という行為は大きな負担になります。また、生命保険法は保険法によって基本的に3年を過ぎると請求する権利が消滅するという盲点もあります。“保険に入っている”程度ではなく、保険会社名や保険の種類、受取人などできる限りの情報を伝えておく必要があります」

 一方、「親の交友関係」は子どもが調べるのには限度がある。「あなたの交友関係は、配偶者や子どもはまったく知らないと思ってください」と永峰さんは指摘する。病気になったり、亡くなったりしたときの連絡に困るのはもちろん、危険人物に接触し、トラブルに巻き込まれることも考えられるという。

 子どものために、今のうちからどのような準備をしておくべきかを把握するのが最初の一歩。子どもはもちろん、妻とお互いの老後について話し合うヒントとしても活用したい。

 ■島影真奈美(しまかげ・まなみ) ライター/老年学研究者。1973年宮城県生まれ。シニアカルチャー、ビジネス、マネーなどの分野を中心に取材・執筆を行う傍ら、桜美林大学大学院老年学研究科に在籍。近著に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラクなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)。

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