【マンション業界の秘密】利回り3%で1棟マンションが売れている!? 原価割れの恐れ…危うい資産運用法 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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利回り3%で1棟マンションが売れている!? 原価割れの恐れ…危うい資産運用法

 先日、マンション用地を仕込む専門業者と話す機会があった。当然、「(用地を)買えていますか」という話題になる。

 昨年の首都圏の新築マンション供給戸数は約2万7000戸。1992年以来の3万戸割れとなった。多くのマンションデベロッパーが供給戸数を減らした結果だ。

 原因は新型コロナによる営業自粛もあったが、それより都心エリアの事業用地が高くて買えないというのが実態である。さらに郊外の新築マンションは販売不振。土地を買っても、そこに開発した物件は売れない状況である。業界全体のダウンサイジングが続いているのだ。

 そんな中で、バブルらしい取引も目立つようになってきたという。それは新築マンションの1棟買いである。

 デベロッパーが土地を仕込んで計画を立て、建設を始めた案件を1棟ごと買う企業が多くなったというのだ。それも、不動産業者ではなく他業種が購入し、賃貸で運用するという。

 しかし、最近の都心エリアでは分譲マンションの価格が高くなりすぎて、賃貸で運用すれば利回りはせいぜい3%台しか見込めない。それでも買い手がつくようだ。

 不動産投資信託であるリートが都心エリアの稼働率が高いオフィスビルを、利回り3%台のレベルで購入する現象は3~4年前から見られた。

 だが、分譲用に開発されたマンションを運用利回りが3%台程度で他業種の企業が買うのはちょっとした驚きだ。

 そういった資金運用はかなりハイリスクだからである。カンタンに言ってしまうと、入居率が想定よりも下回ると、3%どころではなく0%に近づいてしまう。

 あるいは何年か先に売却するときに購入価格を下回っていれば譲渡損が発生する。だから、利回り3%で1棟マンションを購入するのは、普通では考えにくい運用法なのである。

 もっとも、今の金利は限りなくゼロに近い。キャッシュを寝かせておいても利益は生まれない。国債を購入したところで、利回りはコンマ以下という状況。「3%でも回るなら」という発想になるのかもしれない。

 こういう「マンション1棟ごと」という買い方は、2008年のリーマン・ショックでついえた不動産ミニバブルの時に盛んに行われていた。あの時の買い手は内外のファンドだった。

 こういったバブルが終わると、物件が一気に原価割れの不良資産に変わる恐れがある。何とも危うい資産運用方法である。

 日本銀行の総裁である黒田東彦氏は23年4月に任期を迎える。あるいはそれ以前の退任があるかもしれない。

 今の異次元金融緩和による超低金利政策は、黒田氏の退任とともに終わる可能性が高い。その後、1棟買いされた分譲マンションの資産価値がどのようになるのか、大変興味深いところである。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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