【マンション業界の秘密】訪日客「蒸発」で激変する不動産事情 土地の評価が大きく減少、一部地域で路線価がイレギュラーに見直し - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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訪日客「蒸発」で激変する不動産事情 土地の評価が大きく減少、一部地域で路線価がイレギュラーに見直し

 先日、大阪市内の一部地域で路線価がイレギュラーに見直された。インバウンド(訪日客)の「蒸発」で、土地の評価が大きく減少したことへの対応だそうだ。

 東京でも銀座の大型商業施設でテナントがまとまって退去している、という報道がある。

 インバウンドが来なくなって約1年。関連業界の苦境は続いている。いつになったら光明が見えてくるのだろう。

 世間ではワクチンへの期待が強い。接種率が高まれば、ウイルスの感染拡大も収束する。そうなれば、入国制限が解除されて再びインバウンドが大量に押し寄せる…という筋書きである。

 だが、果たして期待通りとなるだろうか。

 日本ではワクチンの接種が始まったばかりで、年末までに接種率が人口の半分あたりという予測もある。先行する米国や英国での接種による感染抑制効果はまだ伝えられていない。

 そもそも接種が本格的に始まったのは一部の先進国で、かつて大量のインバウンドを日本に送り込んでいた東アジア諸国では、まだ緒についたばかりという印象だ。

 新型コロナの発生源と目される中国では、独自に開発したワクチンの接種が本格的に始まっている模様だが、その有効率は「50%」という報道もあり、何とも心もとない。ニセモノまで出回っているというから、いかにもな展開である。

 こんな具合なので、日本が東アジアからの入国制限を解除できるまでには、今から最低でも2年はかかるのではないか。そうなると、今は何とか耐えているインバウンド需要をあてにした各業種はどうなるのだろう。

 例えば、ホテル業界。需要がコロナ以前の状態に戻るまで4~5年は覚悟した方がよさそうだ。

 出張需要も激減している。会議や打ち合わせはリモートで済ませられ、そのやり方でも業務にさして支障がないことに気づいた経営者は、この疫病が収まっても以前ほど宿泊を伴った出張の必要を認めないと思われる。

 ホテル業界では「1カ月間、朝食付きで27万円」といった滞在プランを販売し始めた。とても利益が出ているとは思えない内容だが、部屋を遊ばせておくよりもいいという発想だろう。

 不動産業界はどうか。コロナ以前はホテル側が土地の有力な買い手だったが、今はほぼ消えている。インバウンド向けの飲食や物販の店舗需要は急減したまま。こういった業種の不動産需要も当面、回復が見込めない。

 今のところ、住宅関連での需要減は見られない。むしろ部分的には増加している。ただ、不動産業界全体としての需要減の影響は、そのうち出てくるはずだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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