【マンション業界の秘密】コロナ禍でローン返済に行き詰まり…任意売却物件続出か - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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コロナ禍でローン返済に行き詰まり…任意売却物件続出か

 経団連が昨年12月、大手企業の冬のボーナスが前年比で平均9%減少したと発表した。09年以来の落ち込みだそうである。新型コロナによってこれだけ経済が混乱しているにもかかわらず、9%の減少で済んだことを安堵すべきではなかろうか。

 もちろん、業種によって差はあり、コロナ禍の直撃を受けたANAはゼロ、JALは8割減という。

 日本のサラリーマンの7割近くは大企業ではなく、中小企業に勤めている。だから、冬のボーナスの減少幅は9%どころでは済まなかったはずだ。住宅ローンを利用してマンションを購入し、ボーナス返済を設定している人はかなり困ったことだろう。

 私が行っている不動産の売却相談に持ち込まれた物件で、知り合いの仲介業者が買い主を見つけてきた、ある物件を思い出す。

 成約したのは2年くらい前だった。その物件は私鉄沿線にあって、駅からは徒歩9分。築9年の中古で、価格は3700万円だったと記憶する。その業者に誰が買ったのかを聞いてみたら、飲食店チェーンに勤める30代の店長で、年収は500万円だった。自己資金は300万円。

 金利が安い時期だからローンを組めたのだろうが、返済はちょっと無理目に思えた。その方は今どうしているのかと考えると、やや心が重くなる。

 収入を減らして住宅ローンの返済に行き詰まっている人は、中堅社員以下の給与所得者が想定され、彼らが購入している物件価格は4000万円前後と思われる。

 そういうマンションは、首都圏なら山手線の主要駅から快速や急行で30分から40分ほど離れた郊外エリアに集中する。

 住宅ローンの返済が不可能とみなされた物件は、順次任意売却などで市場に売りに出される。今後は郊外エリアからそういう物件が増える可能性がある。

 中堅以上の所得者でも、ペアローンなど無理目の返済プランでマンションを購入した層も返済に行き詰まりやすい。彼らの任意売却物件も出てくるだろう。そういった物件は、湾岸や準郊外エリアのタワーマンションなどが多いはずだ。

 20年はテレワーク需要や高齢富裕者の脱出需要、あるいは住宅ローン審査の駆け込み需要などで、首都圏の中古マンション市場では不自然な動きが見られた。

 しかし、21年はコロナ禍によって収入を減らした層による任意売却物件の市場への大量供給が見込まれる。今年も首都圏の中古マンション市場は、何かと「波高し」という展開になりそうだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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