【マンション業界の秘密】シャッター街招く「店舗兼住宅の空き家問題」 団塊の世代高齢化で2024年以降深刻化 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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シャッター街招く「店舗兼住宅の空き家問題」 団塊の世代高齢化で2024年以降深刻化

 私は新築マンションの資産価値を物件別に評価するリポートを作成するため、東京23区全域と川崎市をくまなく巡っている。少し郊外に行くと、商店街の風景が実に痛々しい。個人商店とおぼしき店舗のほとんどは、シャッターが下ろされたままになっている。店の状態から20年以上、そのままなのではと思う建物も珍しくない。

 そうした旧店舗を見ると、まず人が暮らしているのかどうかを考えてみたくなる。シャッターのほかに建物に出入りできる扉があり、使われている様子があれば、人が住んでいるということだ。その扉さえも使われていなければ、正真正銘、空き家である。

 空き家が問題になりだしたのは、ここ10年ほどのこと。人が住まない家は放置されると腐食や倒壊の危険性を増す。浮浪者などが勝手に居ついてしまうこともある。

 しかし、この問題を解決する抜本的な方策は見つかっていない。私は2024年以降、空き家問題は急速に深刻化すると考えている。理由は団塊の世代。この年、彼ら全員が後期高齢者になるからだ。

 シャッターが下りっぱなしの旧店舗の多くは住宅兼用である。長らく住んでいる人がいるとすれば、昔そこで商店などを開いていた当時の経営者になる。

 そういう方々が鬼籍に入ると、シャッター店舗は空き家となる可能性が高い。相続する人もいるだろうが、その旧店舗に引っ越してくることはかなりまれなケースだろう。

 多くの場合、そのような旧店舗の土地は20坪に満たない。10坪程度である場合も多い。例えば、分譲マンションを開発するなら、土地は少なくとも70坪程度は必要になる。隣り合ったいくつかの旧店舗がまとまらないと、マンションデベロッパーは買い取れない。

 商店街の旧店舗がそのまま放置されるのは、誰にとってもメリットがない。相続した人は、ただ固定資産税を払い続けなければならない。いつまでも寂れたままで、街並みにとってもプラスではない。

 東京の江戸川区、南小岩から葛飾区の金町へつながる道に、柴又街道がある。途中には映画「男はつらいよ」で知られる帝釈天への参道入り口もある。昔は多くの人が行き交った。だが、今では先のようなシャッター街が目立つ。

 何とかならないものかと考えるが、今の制度ではどうしようもない。ああいった郊外立地では、経験則上、にぎわいのある商店街が復活することはまずない。

 マンションが複数建てば、若い人は移ってくるだろう。そうなればコンビニや飲食、医療、理容・美容などの需要が生まれ、店舗も多少は復活する。だが、そんなことが起きづらいのが現実で、だから、さびれたままになっているのだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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