【マンション業界の秘密】中央銀行という“聖域”で経済常識が覆る…不動産市場への影響は - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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中央銀行という“聖域”で経済常識が覆る…不動産市場への影響は

 私が大学で学んでいたのは40年ほど前だ。法科の学生だったが、ちょいちょいと経済学の講義も聞きに行った。

 その後、言論活動をするようになって経済というものに本格的に向き合った。いやはや、これはくせ者である。

 中央銀行というのは、私が学んだ限りはある意味「聖域」である。通貨を発行するのは神の所業を代行するようなものであるから、公正中立なんて当たり前。時々の政府の意向からも独立すべき、という考え方が基本だったように記憶している。

 現状は、私が学んだような常識がことごとく覆されている。それは日本だけでなく、世界的な傾向のように見える。

 アメリカはご都合に合わせてドルを刷り続けた。かつて金本位制だったころは1オンスが35ドルだった。今の実勢価格は2000ドル前後になっている。それだけ、ドルの価値が下がったということだ。

 日本の中央銀行である日本銀行も2013年の黒田東彦総裁の就任以来、常識を打ち破る金融緩和を実行している、その名も「異次元金融緩和」。

 円という通貨を刷りまくって市場に供給しているのだ。目標は「インフレ率年間2%」。黒田氏の就任以来、一度も実現しないが今も異次元金融緩和は続いている。それどころか、日々拡大している。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、政府は景気対策を行った。国民一人ひとりに10万円給付とか、事業所には200万円の持続化給付金の交付だ。政府が使ったお金は実質30兆円と言われているが、そのほとんどが赤字国債によってまかなわれた。

 日本政府が発行する国債は巡り巡って日本銀行の金庫(データ)に入る。すでに国際発行残高の半分以上を日銀が買い上げたと見なされている。

 通貨を発行する権限のある中央銀行が、政府のお金が足りないからと言って融通することを経済学では「財政ファイナンス」と呼ぶ。私が学んだ限り、これは絶対にやってはいけないこと。これをやったベネズエラやアルゼンチンではハイパーインフレが発生した。

 今、日本銀行は黒田総裁の下に公然とそれを行っている。

 そのほか、日本銀行は株式のETFを買い入れている。すでに数百兆円の規模に達したのではないか。日本の主要企業の大株主が日本銀行になっている。

 私が表層的ながら経済学を学んでいたころの常識にことごとく反するようなおきて破りを、今の日本銀行は行っているのだ。

 黒田総裁による異次元金融緩和で発生した不自然な市場変動の波をもろに被ったのが、東京都心やその他限定エリアの不動産市場。私が局地バブルと呼ぶ異常な値上がり現象は、黒田氏が総裁に就任した13年から発生した。

 本来の実力以上に価格が高騰した都心や城南エリア、湾岸、さらには神奈川県の武蔵小杉などは、今後急激な価格調整の時期を迎える可能性がある。

 経済理論は今、その有効性を試されている。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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