【マンション業界の秘密】コロナによって東京都の人口減少が早まる? テレワークなら都心やその近郊に住む必要性は… - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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コロナによって東京都の人口減少が早まる? テレワークなら都心やその近郊に住む必要性は…

 気になるニュース記事を読んだ。総務省公表の5月の人口移動報告(外国人含む)によると、東京都は転出が転入を1069人上回り、人口流出に当たる「転出超過」となったらしい。

 地方から進学や就職で東京に移り住むはずだった若年層が、引っ越しを保留中なのだろうか。

 都の転出超過は2013年7月以来初めて。日本人に限ると、東日本大震災後の11年7月以来の転出超過だそうだ。

 かねてより、都の推計では25年より人口が減るはずだった。この流れが本物であれば、かなりの前倒しとなる。

 不動産業界の周辺でも「都心での新築戸建ての売り上げが絶好調」とか、「郊外での低価格老朽戸建てが売れ始めた」という話を聞くようになった。

 考えられるのはテレワークの常態化によって、広くて部屋数の多い住まいを必要とし、また、自然環境を重視したテレワーク空間の確保という側面もありそうだ。

 小池百合子都知事は第1期の選挙公約に「満員電車ゼロ」を公約に掲げたそうだ。本人はほぼ何もしなかったみたいだが、新型コロナのおかげで、くしくも一部的に実現することになった。

 テレワークはコロナ後、確実に定着していくだろう。もちろん、大手企業の中には通常出勤に戻したところもあるという。そのような企業には、いまだに「昭和オヤジ」、つまり社会人になったとき、昭和時代だった人々が現存する。

 この世代には、パソコンやスマートフォンなどの情報機器の操作を苦手としている人々が、一定の割合で存在する。総じてテレワークの有効性に対して懐疑的でもある。

 そんな彼らが幹部や経営陣の一角を占めていても、賞味期限はそんなに長くはない。あと数年できれいにいなくなるか、社内での発言権がほぼなくなるだろう。

 そうなれば、テレワークは、医師、看護師などのエッセンシャルな業務や建築作業員のようなフィジカルな作業を必要とする会社をのぞき、あらゆる企業に定着する。

 テレワーク企業に勤めるサラリーマンは、都心やその近郊に住む必要性はかなり低くなる。だから、郊外や遠隔地の環境のいい場所に住まいを求める層が一定数は出てくる。

 今回、一時的にせよ都の人口が転出超過に転じたのは、そういった中長期トレンドの先駆けとも言える部分がちょっとはあるのかもしれない。それがはっきり顕在化してくるのはこれからだが…。

 不動産は需要と供給で価格が形成される。13年以来の異次元金融緩和で上昇一途だった都心部のマンション価格は、従来予測されたより、早めに下落というターニングポイントを迎える可能性がある。

 そうなると、大量供給されているため、売ろうにも思うような価格で手放すことができない物件が出てくる。タワマン、それも大規模タワマンが林立した結果、似たような物件だらけになってしまったためだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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