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【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】行動制限緩和に向けた“社会科学的”実証実験は適切なのか 緊急事態は解除したが…公衆衛生学的には不安

 8月には東京都で1日に5000人を超える新規感染者を確認する日もあった新型コロナウイルス「第5波」も、9月に入って感染者数が減少してきました。

 こうしたことを受けて、政府は10月1日に緊急事態宣言と蔓延(まんえん)防止等重点措置を解除しました。今回の緊急事態宣言の解除には問題もあると思われます。

 ひとつは解除を決めた日に東京都の新規感染者が248人もいたことです。もうひとつは自宅療養者の問題です。政府は宣言解除の基準に自宅療養者数が人口10万人あたり60人という基準を設けています。現在、この基準を上回る地域はありませんが、気を抜けばすぐに上回る可能性も否定できません。昨年3月に出された緊急事態宣言が解除された5月27日の東京都の新規感染者が26人だったことを振り返ると、公衆衛生学的には不安が残ります。

 緊急事態宣言の解除にはほかにも条件があります。それは多くの専門家がこの冬に起きると予測している第6波に対する対策を政府が確実に実行することです。

 政府は行動制限緩和に向けた実証実験を行うようですが、実験の内容を見ると、自然科学の実験というよりは社会科学的な調査のように思います。社会科学を軽視するわけではありませんが、新型コロナに関する実証実験というからには自然科学的な手法が必要です。

 政府は飲食店やイベント、スポーツなどで来場者の体調を追跡調査したり、飲食店でもワクチンの接種証明や検査の陰性証明を求め、約1カ月間感染対策と日常生活の両立は可能なのかを検討していくようです。

 まず実験の目的がワクチン接種の効果の検証か、感染リスクの高い場所を突き止めることなのかわかりませんし、コントロール(対照)がありません。

 実証実験というからには、少なくとも目的を明確にしたうえで、科学的に信頼できるデータが得られるような実験にしてほしいものです。

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