記事詳細

【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】自然と共存・共鳴していた縄文文化の結晶 日本人の精神文化の象徴 北海道・北東北の縄文遺跡群 (1/2ページ)

 2021年夏、北海道・青森県・秋田県・岩手県に点在する17カ所の遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されましたが、これは農耕以前の日本人の精神文化を象徴し、自然と共存・共鳴していた縄文文化の結晶です。

 北海道の縄文遺跡といえば、北海道唯一の国宝である中空土偶「茅空(かっくう)」が出土した函館市の著保内野(ちょぼないの)遺跡が有名です。しかし、「茅空」は国宝ですが、動産なので世界遺産にはならず、世界遺産の対象は、「茅空」を常設展示する函館市縄文文化交流センターに隣接した「垣ノ島遺跡」「大船遺跡」など北海道に散在する縄文時代の遺跡です。

 北東北では青森県の「三内丸山遺跡」がわが国を代表する縄文遺跡で、縄文時代における集落の全体像や変遷、社会構造、自然環境や精神性などの縄文文化を知ることができます。縄文時代は争いのない平等社会といわれていますが、私は三内丸山遺跡を訪ねた際、長期間の定住生活を物語る数多くの土坑墓(大人の墓)と約20基の環状配石墓を見て、縄文人にも階級があったのではないかと思いました。なぜなら、環状配石墓は土坑墓に比べて石を配置するなどの手間もかかるため、環状配石墓にはそれなりの人が埋葬されたと考えられるからです。私が考える縄文社会の階層化の根拠は、「茅空」など祭祀(さいし)に使われたであろう土偶の存在にあります。

関連ニュース