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【東京舞台さんぽ】浅田次郎ゆかりの“異界の地” 東京都青梅市・御岳山を歩く (1/2ページ)

 直木賞作家、浅田次郎さんの短編集「神坐す山の物語」は、東京都青梅市の御岳山(標高929メートル)にある宿坊が舞台だ。浅田さんの母親の実家で、武蔵御嶽神社の神職も務める一族に代々伝わる民話や怪異譚を作品化。古くから関東の山岳信仰の中心地であり、浅田さんが「異界」と表現した地を実際に歩いた。

 JR青梅線の御嶽駅からバスとケーブルカーを乗り継ぎ、標高831メートルの御岳平まで一気に上がる。徒歩約15分で宿坊「山香荘」に着いた。19代目当主の鈴木伊織さん(48)の父が、浅田さんといとこ同士だった。ここで浅田さんは幼少期を過ごし、「親戚や荷運びなどをする『剛力さん』からかわいがられ、怖い話や不思議な話を聞いたのでしょう。それが小説の基となったんですね」と鈴木さんは説明する。

 大広間の「御神前」を見せてもらった。「天井裏の春子」の一編ではキツネにつかれた娘からキツネを落とす神事が行われた場だ。小説にも登場する実在した浅田さんの伯父や祖父の肖像写真も飾られ、重みのある空気を宿していた。

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