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がん治療での日本と世界の乖離 日本で「手術」が多く「放射線治療」が少ない背景 (4/7ページ)

 「仕事までの復帰期間も異なります。早期肺がんの体幹部定位放射線治療であれば通院で5回、1回30分程度なので5日ほど会社を半休するくらい。手術の場合はオペ自体が3時間ほど、入院期間は1週間ほど。自宅静養も含めると1か月ほど仕事を休むことになります」(武田さん)

 仕事への支障がここまで減らせるなら、手術は避けたいと考えるのも普通だろう。

 「私たちが手術と放射線治療の両方を受けたことがある人を対象に『どちらの治療を受けたいか』とアンケートを行ったところ、生存率が同等ならばほとんどの人が放射線治療を受けたいと回答しました。80才以上にいたっては、『生存率が20%低下したとしても放射線治療を選ぶ』と答えた人が半数を軽く超えており、手術による負担が患者にとっていかに大きいかを考えさせられます」(武田さん)

 患者の本音に耳を傾ければ、こんなにも多くの人が手術を避けたがっていることがわかる。それなのに、これほどまで多くの日本人が手術を受けることを余儀なくされるのはなぜだろうか。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんはこんな見立てをする。

 「日本ではいまも外科医が強いという土壌がある。それはがん治療においても同様で、近年でこそ腫瘍内科という専門科ができましたが、歴史的に見れば外科医が抗がん剤治療をしていたくらいです。ですが、最近の医療技術の発達は目を見張るものがあり、薬物療法、放射線や重粒子線など、外科医が片手間でできなくなってきています」

NEWSポストセブン

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