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【マンガ探偵局がゆく】川舟で暮らす男の一期一会 売れない小説家の煩悩に共感『舟に棲む』 (1/2ページ)

 暑い夏は川に浮かべた舟で涼むなんてのもよさそう。今回は川舟にちなんだ依頼を。

 「探してほしいのは、20年ほど前、釣り仲間が集まる食堂に置かれていた雑誌で読んだマンガです。川舟の上で暮らしている男と風変わりな人々との交流を描いた、釣り雑誌には珍しい内容でしたが、僕的になかなかひかれるマンガでした。転勤などをはさみ、一時期釣りから離れたこともあって、読まなくなってしまったのですが、本になっているのでしょうか。あれば読んでみたいです」 (釣りバカ管理職)

 依頼人が探すマンガは、釣りマンガ専門月刊誌『COMIC釣りつり』の1996年8月号から2000年5月号に連載されていたつげ忠男の『舟に棲む』だろう。つげ忠男はつげ義春の弟である。

 舞台は利根川が流れる千葉県の小都市。モデルは流山市だろう。主人公の津田健太は小説家で、作品上の年齢は57歳。会社勤めだった37歳の時に文芸雑誌で新人賞を受賞し、退職して専業作家になるが、地味な作風のため20年間売れず、来るのは趣味の釣りなどに関する雑文の仕事ばかり。妻と息子、娘がいるが家計はもっぱら妻が経営するジーンズショップの収入が頼り。津田は「なんだかオレはヒモみたいな男だ」と煩悶(はんもん)している。

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