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【BOOK】「読者には申し訳ないけど、今度こそ本当に最後です」最終章を大きく改稿 小説家・小林信彦さん『決定版 日本の喜劇人』 (1/3ページ)

 小林信彦さんの代表作『日本の喜劇人』の決定版が出版された。1972年に晶文社より上梓されてから49年。これまでに新潮文庫版、箱入り2巻本など装いを新たにするごとに加筆・修正されて、今回で5度目。「読者にはたびたび申し訳ないけど、今度こそ本当に最後です」という「決定版」だ。(文・井上志津/写真・川口良介)

 

 --最初の出版の経緯を教えてください

 「翻訳推理小説雑誌の編集長をしていたとき、エッセイストの古波蔵保好さんと喜劇の思い出話をしたんです。戦前、チャップリンの『街の灯』『モダンタイムス』の2本立てを日比谷映画で父と見たこと、戦後は丸の内のピカデリー劇場で『チャップリンの黄金狂時代』に笑い転げたこと、1947年に2カ月ぶっ通しのロッパ(古川緑波)とエノケン(榎本健一)の『弥次喜多道中膝栗毛』を有楽座で見たときは、笑って笑って、死ぬかと思ったこと……。それで古波蔵さんに『ご覧になった喜劇人について書いてみませんか』と提案したら、『それは君が書くしかないよ』と言われたのがきっかけです」

 --刊行の翌年に芸術選奨新人賞を受賞し、その後、3回、加筆・修正してきました

 「読者にはたびたび申し訳ないですが、今回が年齢的にも本当に最後です。今回は従来の『日本の喜劇人』と、植木等・藤山寛美・伊東四朗を論じた新潮文庫『喜劇人に花束を』を1冊にしました」

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