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【BOOK】時代劇は現代を仮託…悲惨なこともワンクッション置けるのがいいところ 直木賞受賞・西條奈加さん『心淋し川』 (1/3ページ)

 江戸の市井の人々を描いた時代小説で、初候補ながら第164回直木賞を射止めた西條奈加さん。実は今回の直木賞候補者6人全員が初候補という中、作家デビューは最も早かった。「年功序列じゃないんですか」と冗談交じりに笑う新直木賞作家が語る創作の裏話とは-。 文・竹縄昌

 

 --おめでとうございます。お忙しいのでは

 「そうですね、小説の原稿を書くだけの生活でしたので、それが急に取材とか原稿依頼が増えてバタバタしている感じです」

 --候補の連絡を受けたときは

 「時代物というと、もっと史実に忠実だったり、骨太の作品が候補になると思っていたので意外でした」

 --他の候補者を見ていかがでしたか

 「私も含めて初候補ばかりでしたが、お若い方が多くて、フレッシュな印象でした」

 --一番のベテランでした

 「ある意味、年功序列でいただいたという感もなくはないですが、初めてで受賞はないだろうとすっかり油断していました。当日受賞の連絡を受けたときは、現実味がなくてほんとですかと何回も聞いてしまいました」

 --宝くじに当たったようだとも

 「宝くじは当たるといいなと思いつつも、当たるとは思わないところもあるじゃないですか。当たってあたふたするところも似ていますが、直木賞はそれほど遠かったという存在なんです」

 --本作の着想はいつごろから

 「2017年の秋頃にプロットを出しました。ずっとお待ちいただいていたのですが、宮本輝さんの作品の中で好きな『夢見通りの人々』に触発されました。オムニバス形式で日頃から顔を突き合わせている人間関係も描きたかったんです。18年の春に編集の方たちと根津権現とか谷中(やなか)の辺りを取材したのですが、根津権現の中を小川が流れていて、それがタイトルにも使った川のイメージと子供の頃は淀んでいた故郷の川が結びつきました」

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