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【京都を歩く「ミュジコフィリア」のいる風景】無鄰菴、泉涌寺…『ミュジコフィリア』で史上初の貴重な映画撮影 (2/2ページ)

 圧巻といえば五山の送り火で名高い大文字山のロケで洛中を見下ろす風景も忘れられない。ここの風の音が、映画で重要な役割を果たす。

 原作・脚本とは違う場所を選んだところもある。コミックでは主人公の朔に幼なじみの小夜が演奏上の悩みを、深泥池(みどろがいけ、京都市北区)のほとりで話す。氷河期から生き残る生物群が国の天然記念物に指定されている深泥池は、太古へのロマンをかき立てるロケーションだが、光が差し込む方角の問題で撮影は難しい。ここはどうしても夕日が欲しい。

 こんな時、日本映画の半分が撮影されてきた京都では膨大なロケ地の集積がある。夕日といえば広沢池だ。平安時代に造営され観月の名所としても有名な広沢池でロケ最終日に朔(井之脇海)と小夜(川添野愛)が語るシーンを撮り、撮影を締めくくることができた。

 ■大野裕之(おおの・ひろゆき) 脚本家、演出家。1974年、大阪府生まれ。京都大学在学中に劇団「とっても便利」を旗揚げ。日本チャップリン協会会長。脚本・プロデュースを担当した映画に『太秦ライムライト』(第18回ファンタジア国際映画祭最優秀作品賞)。主な著書に『ディズニーとチャップリン エンタメビジネスを生んだ巨人』(光文社新書)など。脚本とプロデュースを担当した『ミュジコフィリア』は19日公開。

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