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【日本美女目録 新珠三千代という女優】結婚前後で演技のギャップがすごいと評判に 夏目漱石の名作を市川崑が撮った野心作 こころ(1955年) (1/2ページ)

 明治の文豪、夏目漱石が名作『こゝろ』を書いたのは1914(大正3)年。朝日新聞に「心先生の遺書」というタイトルで連載された。その後単行本になったが、漱石自身の装丁で岩波書店が出版第1号となった。

 今回はその名作を市川崑が日活で55年に撮った野心作。タイトルは「こゝろ」ではなく『こころ』としている。

 漱石は乃木大将が明治天皇の後を追ったことに感化されてこの小説を書き始めたそうだ。それは明治から大正へのオマージュであったという。

 映画は原作に忠実でセリフも原文とほぼ同じ。それだけ市川監督は、この小説に強い思い入れがあったのだろう。

 東京・本郷付近を思わせる下宿のセットや、本文にある猿楽町、神保町、万世橋、本郷菊坂、小石川などが出てくるがこちらも忠実。

 手紙をドアップで見せるシーン。これまで日本映画にそんな演出はなかったのではないか。市川監督の発明か。

 先生(森雅之)が、若いころ梶(三橋達也)と静(新珠三千代)を取り合い、死に追いやった過去が先生の心をむしばんだわけだが、森も三橋も老けすぎだと当時は不評だった。森の髪形が書生時代とその後が少し変わっただけというのも不自然といわれた。

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