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【鎮目博道 テレビ用語の基礎知識】「持ち込み遅れ」 興奮しやすい人は生放送に不向き 放送事故が起きても人が死ぬことはない (2/2ページ)

 そして、結構しばしば「持ち込み遅れ」は発生します。言い訳を考えた末、「VTRを運ぶ途中で転び、テープが車に轢かれました」とサブ(副調整室)で叫んだディレクターも。VTRの構成がどうにも書けなくて、放送2時間前になって「無理です。ごめんなさい」と泣きを入れたディレクターもいて、その時には僕ともう1人のディレクターで半泣きになりながら15分のVTRを必死ででっち上げたこともあります。

 たぶん生放送には向き不向きがあるのだと思います。僕の考えでは、興奮しやすい人が生放送に一番向いていません。大事件が起きると、なんだかサブで絶叫しているプロデューサーがよくいます。ああいうタイプが一番ダメですね。

 僕はどっちかというと、周囲が慌てれば慌てるほど「あーみんな大変そうだな」と思って、慌てている人を観察して愉しんでしまうような、ひねくれた性格です。目の前で起きていることがどこか他人事というタイプなので、落ち着いて緊急事態に対応できます。

 とりあえず絶叫しているヤツを「黙れ」と一喝すると、だいたいどんなピンチも乗り越えられるんですよね。これ、生放送の現場で得た僕なりの人生訓です。放送事故が起きても、人が死ぬことはありませんから、落ち着いて対応すればいいんです。

 ■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。上智大学文学部新聞学科非常勤講師。1992年テレビ朝日入社。社会部記者や、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。

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