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【田村秀男 お金は知っている】新型コロナが資金循環を壊した GDP22兆円減、対外金融資産が100兆円超も膨張 (1/2ページ)

 経済は私たちの生活を支える実体部門と、巨額のカネが膨張と縮小を繰り返す金融部門に分かれる。実体経済は国内総生産(GDP)で表され、金融経済は市場で取引される証券類などの金融資産と不動産で構成される。

 消費や設備投資によって金融経済から実体経済にお金が流れ込み、再び金融経済に還流すれば好循環になるが、慢性デフレが四半世紀も続く日本はこの流れが細く、中国・武漢発の新型コロナウイルス禍によって途切れてしまった。

 グラフは日銀がまとめている「資金循環」統計から抜き出した家計の金融資産のうち現預金および対外金融資産と、GDPの前年度比増減額の推移である。2020年度はGDPが22兆円減ったのに対し、現預金は55兆円を超す規模で増えたばかりか、対外金融資産が100兆円余りも膨らんだ。

 家計現預金が急増したのはコロナ対策で国民1人当たり一律10万円など政府による現金支給が主な要因だが、家計金融資産全体では約130兆円も膨らんでいる。財政資金の拡大と日銀による円資金の増発は国内実体経済に向かわず、現預金や株式など金融資産を膨らませたばかりではない。海外金融市場へなだれ込んだ。

 GDPの萎縮分を現預金の増加が上回っていても安心できない。カネがいわゆるタンス預金や銀行預金に回ったままで、企業の設備投資や住宅ローンなどに振り向けられないと、国民全般の所得は減る。他方で金融資産を持つ富裕層はますます太るので、貧富の格差拡大が激しくなる。

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