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【田村秀男 お金は知っている】経団連会長が為すべき「義」とは国内向け投資の優先 バブル崩壊後、沸き起こった米国型の市場原理主義の大合唱 (1/2ページ)

 NHK大河ドラマは「論語と算盤」の経営哲学を説いた近代日本の資本主義の祖、渋沢栄一を取り上げ放映中だ。そして、住友化学会長の十倉雅和氏は孔子の「義をみてせざるは勇無きなり」を肝に銘じて6月初めに経団連会長に就任した。平成バブル崩壊以来、30年にも及ぶ経済の停滞に加え、コロナ禍の追い打ちを受けるに至って、ようやく日本型資本主義の原点に立ち返ろうとする曙光(しょこう)が見えてきたかもしれない。

 1980年代の初め、経済団体連合会(旧経団連)と並んで現経団連の母体、日本経営者団体連盟(日経連)で「ミスター日経連」と呼ばれた桜田武氏は、後に平成バブルの元凶にもなった企業の時価発行増資について経済雑誌に寄稿。「他人様からめし上げたアブク銭で設備投資や事業拡大を図るなんて、もうこれは正常な経済現象じゃない。経営者の良心に疑問を持つとともに、証券会社に小汚いマネをするなと言いたい」と鋭く警告していた(野上浩三著、TEM出版書店刊『国民年金を万全にするための株式投資論』から)。

 「国士」と呼ばれた旧経団連会長の土光敏夫氏といい、かつての財界リーダーは利益至上主義を何よりも嫌った。バブル崩壊後、そうした気風は経済界から消え、政官界、さらに経済メディアも米国型の市場原理主義の導入へ大合唱が沸き起こった。企業は株主のものであり、株主にとっての企業価値を大きくするのが最高経営責任者(CEO)の役割だという。

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