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【こんな時代のヒット力】ネガティブなタイトルで類書と差別化、発売前にSNSで内容の一部公開も PHP研究所「書くのがしんどい」 (2/2ページ)

 「第1章、書くことがなくてしんどい」では、自分のことを書こうとしなくていいという。書けない時に見つめるべきは内面ではなく外側。「自分のまわりで起きたことや、自分の心が動いた瞬間を書いてみればいい」のだ。

 「第2章 伝わらなくてしんどい わかりやすい文章の基本」では、一文は短ければ短いほうがいい。大事なところだけ残せばいい。平仮名と漢字のバランス。最初に結論を書くなど具体的だ。「立ち読みでいいから、この章だけは読んで欲しい。すぐに文章が変わるはず」と、大隅さんもお薦めする。

 企画から刊行まで約1年。名編集者といえども、初の著書。編集者として求める基準が高いため、「面白いか自信がない」と、竹村さん。これに対し、大隅さんは徹底的に原稿を読み込んだ。「100回以上は読み、何回読んでも面白いかどうかを確認しながら進めた」。削り切れず、企画の立て方、執筆依頼のコツなど編集者の役に立つ内容はコラムに。240ページの予定が320ページに膨らんだ。

 「書くのがしんどい」というネガティブなタイトルに、社内には危惧の声もあった。しかし、文章術の本は類書が多く、埋もれるのを恐れあえて選んだ。帯に手書き風の文字を採用し、さらに「そんなあなたが書けちゃうんです!」とコピーを入れた。また竹村さんの顔イラストのアイコンを載せ、フォロワーには一目でわかるようにするなど、細部まで徹底的に工夫を凝らした。

 発売前からSNSで内容やゲラの一部を公開すると、まず竹村さんのフォロワーが注目、瞬く間に口コミが広がった。それに呼応するよう書店の店頭には、竹村さんのアイコンと共に本が並び、発売直後に重版。勢いは現在も加速している。(村上信夫)

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