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【田所龍一 虎番疾風録 Vol.63】ブレイザー監督、岡田彰布の育成より「チームの勝利」を優先 (1/2ページ)

 ほんまに、岡田彰布を育てる気があるんやろか-。筆者の疑問は日ごと大きくなっていった。ブレイザー監督は岡田の守備位置について「他のポジションでもテストする」と依然、漠然とした答えばかり。真剣に「育てよう」と考えているようには思えなかった。

 阪神は1980年2月11日に米国アリゾナ州テンピでの“春季キャンプ”へ出発する。当然、新米の筆者は連れて行ってもらえない。そこで〈なんで一塁?〉の疑問を上司の西田デスクにぶつけてみた。

 西田「今の岡田の守備力では、一塁以外に守るところがないからやろう。素質がないというてるんやない。強肩で練習も熱心。遊撃でも二塁でも時間をかけて鍛えれば必ず光る。けれど、いまの阪神にはその余裕がない」

 --時間がない?

 西田「そうや。ブレイザーにとってことしは“勝負”のかかった年。岡田の走攻守でことし戦力になるのは打撃力。それを生かすための“一塁”とすれば、明解な結論やろう」

 --岡田の将来はどうなるんです?

 西田「ブレイザーに“育てる”というビジョンはない。が、責めるのは当たらん。1軍の監督がチームの勝利を優先して考えることは当然なんや」

 当時はまだ若くてデスクの話がなかなか理解できなかった。だが後年、ようやく納得することができた。

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