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【田代学 ダッグアウトの裏側】大リーグ開幕のカギを握る…選手会専務理事トニー・クラーク氏

 米大リーグは独立記念日(7月4日)前後の開幕を目指して、機構側と選手会の折衝が続いている。米メディアによれば、選手会は18日(日本時間19日)も電話会議を開き、約130人の選手が参加したという。

 交渉の鍵を握るのが、2013年から選手会専務理事を務めるトニー・クラーク氏(47)だ。30球団のオーナーによる電話会議で開幕プランが承認された11日には、「過去に達成できなかったことを果たすために、世界的な健康危機を利用している」と発言。コロナ禍に乗じて、オーナー側が年俸抑制に動いていると非難した。

 クラーク氏はタイガースなど6球団で通算15年プレーした元一塁手。身長201センチのスイッチ打者で、3年連続30発以上など通算251本塁打を記録した。

 ヤンキース時代の04年には、デビルレイズ(現レイズ)との開幕戦のために同僚の松井秀喜外野手らと来日。東京ドームで行われた阪神とのオープン戦で、藪恵壹から「電光スクリーン破壊弾」を放った。

 当時ヤ軍担当だった筆者も一時帰国して取材。写真や翌日の紙面を手渡した際、飛距離が159メートル(521フィート)だったことや、修理費が約50万円だったことを伝えたのがきっかけで、米国に戻ってからもよく話すようになった。

 穏やかな性格で、口調もソフト。大リーグ選手会は豊富な資金力とストも辞さない強硬な姿勢から「最強の労組」と称されてきたが、16年の労使交渉でクラーク氏は旧協定の失効3週間も前に5年の新協定を締結させた。その手腕を評価され、18年に任期を4年延長されていた。

 だが、好景気で労使協調が可能だった4年前と状況は大きく違う。少しでも損害を減らしたいオーナー側と、給与を守りたい選手会の主張は平行線。温厚なクラーク氏では、まとめきれないのではないかと危惧している。

■田代 学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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