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【小林至教授のスポーツ経営学講義】イチローの処遇に波紋も… 大団円を導いたマリナーズに拍手 (1/2ページ)

 1度だけ、イチローと対戦したことがある。いまから25年前の1993年、小雨ぱらつく肌寒い3月のマリンスタジアム。結果は三塁打だった。カウント3-0から、ストライクを取りに行ったのに、あにはからず高めにすっぽ抜けたストレートを、右中間に弾き返された。

 当時高卒2年目で1軍ではまだ実績のなかった選手が、オープン戦とはいえ3-0から、それもボール球に手を出すことはオドロキだったが、その後の型破りかつ異次元の活躍からの結果論でいえば、朝飯前の芸当だったことだろう。

 そんな話を日本のみならず、アメリカでも、講演や酒席で話せば、へ~っ、と一定の反応を得られるような、その名を知らぬものないスーパースターの事実上の引退について、寂しさを禁じ得ない。

 と、そんな寂寥感はさておき、かつてソフトバンクのフロントで事実上のGMの役割を経験させていただいた立場から、今回のマリナーズによる処遇について述べるならば、あっぱれである。

 スターの引き際は、一生を賭けて取り組んできたことに終止符を打つ本人にとって重大な決断であるのは勿論のこと、フロントにとっても実に難しい案件である。チームにとっての最善を第一に、かつ本人の名誉を傷つけることなく、さらにファンやオーナー(親会社)の反応も想像しつつ、検討する。

 スーパースターの引き際は自ら決めるのが野球界の不文律だから、引退勧告はできない。チームの雰囲気を察し、自ら引退を決断して、惜しまれつつ去るというのが、チームにとっても、ファンにとっても、最もきれいなのだが、選手からすれば一日でも長く現役でいたいのが本音だから、そうもいかない。

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