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“眠れる巨人”逸ノ城、初日から3連勝 大関候補復活

 ■大相撲春場所3日目(13日=エディオンアリーナ大阪)

 もろ差しになった宝富士が、両上手でがっちり抱えられ身動きが取れなかった。215キロの巨体は体重無差別の相撲では何よりの武器。慌てず騒がず、じっくり寄り切った逸ノ城(24)が初日から3連勝を飾った。

 「立ち合い、ちょっと失敗した。巻き替えられたけど、すぐ左上手を取れたからね。慌てなかったよ」と振り返った。

 幕下付け出しのデビューから5場所目という超スピード入幕を遂げた平成26年秋場所で12勝3敗。「黒船来襲」と大騒ぎになり、三役にも駆け上がり大関候補の最右翼にもあげられたが、27年秋場所で平幕転落後は鳴かず飛ばずが続いた。

 原因は腰痛。「痛くて眠れないときもあった。“夜がこんなに長いとは思わなかった”と思ったくらいだった」

 しかし、その腰痛の恩恵もあった。昨年秋の巡業に出ていれば、逸ノ城も鳥取城北高OBとして日馬富士傷害事件の舞台となった鳥取市での飲み会に出席しなければならなかったはず。悪夢のような事件の現場に居合わせたら、当然警察から事情聴取され心穏やかではいられなかっただろう。欠場したことで難を逃れたのだ。

 事件後の九州場所、初場所と2場所連続10勝。27年名古屋場所以来の三役復帰を果たせたのも因縁めいている。

 体重も215キロに戻し、どっしり感が戻った。「いままでは相手に合わせてしまった。慌てなければ、デカいから勝てる。とにかく慌てないこと」と自分に言い聞かせている。

 審判部の藤島副部長(元大関武双山)は言う。「もろ差しになっても、逸ノ城は慌ててくれない。攻めようにも攻められない。上手を取られたら厳しいし、上位には不気味な存在だろう」

 “眠れる巨人”が目をさまし、再び大関へのアタックに取りかかる。