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欧米TV優先・政治利用・ドーピング…選手軽視、東京五輪に課題 平昌五輪閉幕 

 熱戦が繰り広げられた平昌五輪が25日、幕を閉じた。開幕前から「平和」を演出したい韓国や国際オリンピック委員会(IOC)の思惑が先行し、出場枠のない北朝鮮が参加するなど「政治主導」が叫ばれた大会は、欧米の事情を優先した競技日程が選手に負担を強いるケースも目立った。史上最多13個のメダルを獲得した日本選手団の活躍で「スポーツの魅力」も印象づけたが、「選手第一」の実現は2年半後に迫った東京五輪でも大きな課題だ。

 フィギュアスケート男子で羽生結弦(23)が2連覇を果たした17日のフリーを生放送したNHK総合は、関東地区で平均視聴率が33・9%(ビデオリサーチ調べ)をマーク。金メダルが決まった直後の瞬間最高視聴率は同地区で46・0%に達し、改めて熱狂の度合いが浮き彫りになった。

 しかし、今大会のフィギュアは午前10時に開始。米国のゴールデンタイムに合わせたからだ。対照的に欧州に合わせたノルディックスキーのジャンプは午後9時半スタート。選手は極寒の中で競技した。スピードスケートも終了時間は午後10時を過ぎることが多かった。IOCの収入源となる放映権料に配慮した形だ。

 IOCが公表した収益状況によると、2014年ソチ五輪、16年リオデジャネイロ五輪が開催された13~16年の収益は計51億6千万ドル(約5521億円)で過去最高。内訳はテレビ放映権料が約8割を占めた。最大の顧客は約51%の21億1900万ドル(約2267億円)の米国で、東京五輪でも米国で人気の競泳や体操は影響を受けそうだ。実際、08年北京五輪では競泳全種目や体操の団体総合などが午前決勝となった。選手は難しい調整を余儀なくされる。

 公平、公正な舞台での競い合いがスポーツの原則だが、IOC自らがルールを曲げる場面もあった。開幕直前にアイスホッケー女子の南北合同チーム結成を承認。さらに五輪後、バッハ会長が北朝鮮を訪問するとも報じられた。IOCが距離を置こうとしてきた政治によるスポーツ介入に、自ら踏み出そうとしているようにも映る。

 ロシアの組織的なドーピング問題も解決していない。「潔白」を証明した選手に参加の道を開いたが、すでに2人の違反が確定した。「選手第一」の舞台を整えるべきIOCが、平昌で示したこうした姿勢は「選手置き去り」とも取られかねない。2年半後に五輪を迎える「東京」にとっても大きな課題となるのは間違いない。(産経新聞、田中充)